Ascenseur pour l'échafaud IMDb (France, 1958)★★★
ジャンルとしては「完全犯罪を計画した二人が捕まるまでのスリラー」という括りになるのだろうが、話の筋は結構無理がある。メインじゃない方のカップル二人の行動が、いかにも話を進めるためのつじつま合わせ的な感じがして、原作者も脚本家もほんとにこれでいいと思ってるんですかって感じ。
ではあるのだけど、作品としては楽しめる。冒頭が主役のジャンヌ・モローのちょうドアップで "Je t'aime" 連呼からなのですが、フランス語の音の響きとマイルス・デイヴィスの音楽とうまく溶け合って、独特の雰囲気を醸し出している。これまでジャンヌ・モローを意識したことがなかったけれど、なるほど、名優と評されるのも納得。顔の造詣だけで言えばもっときれいな女優さんは山ほどいるんだろうけど、自分が演じる女性の見せ方をわかってるって感じのプロ意識が冴えるいい演技。
50年代の白黒作品は久々なので、この時代の映画のゆっくりペースとか諸々についていくのがちょっとしんどくて倍速再生。若い人がこの作品をいきなり見せられたらどうなんだろう、かったるくって見てらんないと思うのか、逆に新鮮に映るのか。
あらすじ(Jaihoより): ある大企業の社長の側近ジュリアンは、社長夫人フロランスと愛し合っていた。社長を自殺に見せかけて殺すことを画策したジュリアンは、それを実行に移す。完全犯罪を成し遂げたかに思えたが、証拠隠滅のために再び犯行現場に戻る途中のエレベーターに運悪く閉じ込められてしまう。一方、ジュリアンの車を盗んで、パリの街へと繰り出した花屋の店員ベロニクとその恋人ルイも予期せぬ殺人を犯してしまう。ジュリアンを心配しながら、フロランスは夜のパリをさまよう。明け方、警察の取り締まりで間違って署に連行されたフロランスは、刑事シェリエから、ルイが犯したドイツ人旅行者殺人事件の容疑者としてジュリアンが追われていることを知る…。